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敷金返還トラブルの相談は三浦行政書士事務所へ

敷金返還トラブル

アパート

通常、アパート、マンションなどの賃貸住宅へ入居する際には、賃貸借契約に基づき、貸主に敷金や保証金を預けます。これらの金銭は、賃貸住宅から退去した後、貸主が滞納家賃や原状回復費用(賃貸住宅の修繕費等)を差し引き、残額を借主に返還すべきものと考えられていますが、賃貸住宅を退去した後、“家主が敷金や保証金の清算に応じてくれない” “納めた敷金や保証金を超える高額な原状回復費用を請求された”などのトラブルが多数発生しているのが現状です。
当事務所では、退去時に伴う敷金返還や、原状回復の基本的な考え方に関して情報提供をするだけでなく、借主である消費者の立場に立って、敷金が適正に返還されるためのサポートを行います。

 

 

民法改正により「敷金」と「原状回復」のルールが明文化

契約や金銭の支払いに関するルールを明確化する「改正民法」が平成29年5月26日に参院本会議で可決、成立しました。約200に及ぶ改正項目に中で、これまで不動産業界の古くからの慣習としてやりとりされていた賃貸借における「敷金」、「原状回復」の取り扱いが明文化されることになりました。
3年程度の周知期間を経て、施行される見通しですが、これにより、曖昧な解釈により運用され、しばしば紛争の種となっていた敷金返還に関するトラブルが確実に減ると期待されています。

 

 改正ポイント
  1. 原状回復の範囲について
  2. 敷金の定義が規定された
  3. 敷金は原則として返還されなければならない
  4. 敷金から引くことができる債務の範囲について

  pdf 民法の一部を改正する法律案(抜粋)

 

 

 

 

原状回復をめぐるトラブルの未然防止

国土交通省が示す「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の内容が不動産賃貸にかかる当事者間に少しずつ浸透し、以前と比べ、借主と貸主側(大家又は管理会社)の原状回復義務に関する考え方のズレは解消されてきており、経年変化による損耗は貸主負担との認識が定着しつつあるようです。
また、前述の「改正民法」による敷金、原状回復に関する取扱いの明文化は、当事者間の認識の一致に大きな追い風となりそうです。
  pdf 原状回復にかかるトラブルとガイドライン(国土交通省住宅局)

 

しかしながら、訴訟や調停にならないまでも、高額な原状回復費用を貸主側から請求され、不満を感じた経験のある方は少なくないと思います。むしろ、預け入れた敷金の額の範囲内で済んだことに安堵し、負担する必要のない原状回復費用を支払っていることに気づいていない借主のほうが多いのかもしれません。このような原状回復をめぐるトラブルは、退去時はもちろんのこと、賃貸借契約締結時点の備えによって回避できる場合があります。

 

 

契約時の備え

間取り

賃貸物件の契約業務は、必ずしも物件の管理会社が行うとは限りません。管理会社から入居募集の依頼を受けた仲介業者によるところがほとんどです。つまり、その仲介業者が入居予定の物件に関する事項を十分に把握していないために、原状回復の範囲等についての詳細説明がなされないまま契約に至ってしてしまう可能性があるということです。内装、賃料、立地条件などに気を取られがちですが、敷金の精算内容も賃貸借契約締結の重要な判断材料にしなければなりません。

 

宅地建物取引業者が賃貸借の代理、媒介を行う場合、重要事項説明項目として、借主に対し、解約時の敷金等の精算に関する説明が義務付けられています。しかし、契約時にその内容が決定していない場合には、その旨説明すればよいことになっています。

 

契約内容(原状回復範囲)の確認

国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」には、借主の負担内容として、“通常の使用に伴い生じた本物件の損耗を除き、本物件を原状回復しなければならない”と規定されており、更に、別表として、原状回復にかかる貸主・借主の修繕分担表借主負担の修繕単位、及び、原状回復工事施工目安単価が添付されています。このような借主にとって良心的な契約書が国のガイドラインとして奨励されているにもかかわらず、本契約書がそのまま使用されているケースを見たことがありません。ほとんどが、「宅地建物取引業協会」が作成したものにあれこれ手を加え、又はオリジナルのものを作成し使用しているのが現状です。賃貸契約の手続き上、前もって契約書を確認できない場合がありますので、そのようなときは、前述の「賃貸住宅標準契約書」を契約前に確認し、実際の契約書と比較することが大切です。

  >>>「賃貸住宅標準契約書」 〜原状回復に関する条項〜 はこちら

 

 

原状回復における特約条項について

 

「特約」とは、借地借家法や消費者契約法などで想定されている標準的な賃貸借契約の内容には含まれないが、借主と貸主が個別に合意することで、賃貸借契約の一部となった契約条件のことをいいます。したがって、合意さえしていれば、貸主の修繕範囲を借主が負担するような、借主にとって不利な特約も存在することになります。
もっとも、最高裁判所においては、通常損耗等の原状回復条項に関し、その趣旨が明確に合意されていることが必要とし、その例として、次のように挙げています。

  1. 借主が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が、賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されていること
  2. 仮に賃貸借契約書では明らかでない場合には、貸主が口頭により説明し、借主がその旨を明確に認識し、それを合意の内容としたものと認められること

 

このような判例、その他の法令を受けて、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復に関する借主に不利な内容の特約について、次のような要件を満たすことを要求しています。

  1. 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
  2. 借主が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
  3. 借主が特約による義務負担の意思表示をしていること

 

 

賃貸借期間が長くなればなるほど、契約時の記憶は薄れてしまうものです。契約書に記載されている内容の確認もさることながら、管理会社、又は仲介業者から原状回復、その他の事項についてどのような説明を受けたか、あるいは、質疑応答があった場合にはその内容について、また、説明がなかった場合でもその旨を、契約時に備忘録としてメモ等に残しておくことで、退去時に原状回復について争いとなった場合でも、有効な証拠となり、借主不利な敷金精算を排除することができます。

 

 

 

物件引き渡し時における現況確認

国土交通省のガイドラインでは、賃貸借の当事者に対し、退去時だけでなく物件引き渡し(入居)時においても、部位ごとの損耗等の状況や原状回復の内容をチェックリストを用いて、当事者が立会いのうえ十分に確認すること求めています。これは、事実関係を明確にし、当事者間の認識のズレをなくすため必要なこととして奨励されているはずですが、実際に行っている業者はほとんどありません。物件が新築でない限り、設備などすべてが新品であることはなく、前入居者の使用状況によって(きれいに使用された場合)は、修繕されていない箇所がある状態で賃借することもありえます。

 

入退去時の物件状況及び原状回復確認リストの作成

チェックリスト

業者がやらないのであれば、自身で物件確認をするしかありません。引っ越し前の何も荷物がない状態で、「入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト(例)」を参考に、各項目についてチェックを行います。特に、損耗・損傷がみられる箇所は画像に残すことも必要です。入居時に作成したチェックリストは、賃貸契約書と一緒に退去時まで大切に保管しておいてください。退去時に、いわれのない修繕負担を回避するために有効です。

  pdf 入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト(例)

 

 

 ここを見逃すな!

入居時の現況確認において、壁紙(クロス)やクッションフロアなど、目につきやすい箇所の損傷は比較的容易に見つけられますが、退去時に、入居時には気にも留めなかったところで、不要な修繕負担をさせられる場合があります。以下のような点に注意し、発見した場合は速やかに管理会社に伝えることが重要です。

壁紙(クロス)など張り替えられているか

壁紙(クロス)、クッションフロア、畳などが入居前に張り替えられているとは限りません。前入居者の使用状況によっては、張り替えずにそのまま部屋を貸し出すことはよくあることです。また、張り替えたものの数年空き部屋となっており、全体に日焼けしてしまっていて、新品なのか見た目ではわからないことさえあります。万一、入居後に壁紙(クロス)等を損傷させた場合、退去時におけるその部分の張替え費用について、入居時にすでに経年変化していたにもかかわらず、全額を負担しなければならないのかという問題が発生します。各箇所の張り替え・交換時期については、管理会社に確認する必要がありますが、不明な場合は、自分でチェックしなければなりません。張り替えがされていないか、張り替え後かなりの日数空き部屋になっていた可能性は十分にあります。

 

クッションフロア

絨毯

スチールラックのキャスター跡

家具の脚跡

家具の脚跡

壁紙(天井)

壁紙(側面)

壁紙(スイッチカバー内)

照明器具の電気焼け跡

冷蔵庫やテレビの電気焼け跡

カバー内部の壁紙の色を見てどの程度日焼けしているか確認

 

設備に付帯している小物が付いているか

エアコンの配管を通す壁穴をふさぐためのキャップや洗濯機置場の防水パンの排水口にある継ぎ手などの小物の有無は、入居時に確認しておく必要があります。入居時にはなかったのに、退去時に、紛失物として請求される場合がありますので、念のため画像に残すことをお勧めします。

 

ホールキャップ

排水口継ぎ手(エルボ)

洗濯水栓

パテなどでふさいである場合もあります

築年数が古い物件にはついていない場合があります

水栓用の継ぎ手は前の入居者が残していく場合もあります

 

カビ、結露の状態の確認

鉄筋コンクリート造の建物は、気密性が高く、結露が生じやすいため、すでに腐食や色褪せなどの損傷がみられる場合があります。

 

押入れ

窓枠

サッシのガラス

湿気によりカビが発生している

結露により腐食・色褪せしている

結露により中のワイヤーがさびてガラスが破損している

 

借主は、借りている部屋を相当の注意を払って使用、管理しなければなりません。これを「善管注意義務」といいます。そのため、結露のように、発生すること自体は仕方ない現象でも、それを放置して適切な処置をしないため、壁紙にカビなどの損傷を与えてしまった場合などは、善管注意義務違反として借主の責任を問われ、修繕負担を強いられることになります。壁紙だけならまだしも、下地のボードまで腐食させてしまっては、修繕費がかさみ元も子もありません。
物件を損傷しないよう注意し、努めてきれいに保つことは当然ですが、結露や湿気が原因の損傷は、気が付かないうちに増大することがありますので、入居期間中でも注意が必要です。

 

 

退去時の備え

注意事項

管理会社との退去立ち合いを国土交通省のガイドラインに基づいて行う場合、賃借期間が1年であれ20年であれ、善管注意義務を怠らず普通に暮らしている範囲であれば、借主の修繕負担はないということになります。ただ、そのガイドラインには法律的拘束力がないため、ガイドラインに即していない場合でも罰則がありません。管理会社は、大家さんの負担を少なく、借主の負担を多くするよう、あの手この手で交渉してくるはずです。

 

前述のとおり、ガイドラインの内容を無視した敷金精算は、根拠が契約書に規定されていれば違法ではりませんが、ガイドラインは、判例に則して作成されているため、仮に裁判になった場合のことを考えると、ある程度の拘束力をもつものだと認識した方がよいです。

 

 

貸主側の立ち合い業者の確認

リフォーム業者

一般的に、賃貸物件のオーナー(貸主)は、管理会社に物件の入退去に関する業務を依頼しています。しかし、退去時の退去立ち合いをする業者は、管理会社から依頼を受けたリフォーム業者であることがほとんどです。退去立ち合い時において、速やかに借主の修繕範囲を確定・承諾させるためには、その場で見積もりを提示する必要があるからです。但し、リフォーム業者は、オーナーの代理にもかかわらず、身元を明かさない場合がありますので、立ち合い時に名刺をもらうなどして、業者名と担当者名を確認することが重要です。通常、修繕負担についてオーナーの利益に働く傾向がありますが、そうすることで不当な請求に対する抑止力となります。

 

 

立ち合い業者の常とう手段に注意

そんなこと聞いてない!

退去立ち合いの業者(主にリフォーム業者)は、それを専門にしているため、退去時の室内を一通り見ただけで、どの程度借主に負担させるか落としどころを決めているものです。借主の無知に付け込まれ、その落としどころに誘導されないために、以下の点を踏まえた対応が必要となります。

 

慣習の押し付け

不動産の関連法令で規定されていない事柄については、古くからの慣習や立ち合い業者のやり方に従わせようとします。しかしながら、ガイドラインや判例に照らし合わせると、借主負担とは言い難い不当な修繕であっても、“皆さんそうしてもらってます”などと否応なしに負担を押し付けられることがあります。

 

ハウスクリーニング

ハウスクリーニングの費用負担は、主に契約書内の「特約」で借主負担であると規定されている場合が多く見られますが、日常的な清掃や退去時の清掃を実施していないために生じた汚れが退去後に残っている場合を除き、貸主負担であると考えられています。

 

鍵(シリンダー)交換

前述のハウスクリーニングと同様に、鍵(シリンダー)交換についても「特約」で借主負担とすることがありますが、オリジナルキー(スペアキーではない本鍵)の紛失又は破損によるものを除き、貸主負担であると考えられます。

上記「特約」の有効性が認められた判例があります。

契約書に借主負担であると明記されており、更に仲介業者が口頭で説明していることから、当該特約は消費者契約法10条違反であるとはいえないとしています。
  pdf清掃費用負担特約並びに鍵交換費用負担特約について消費者契約法に違反しないとされた事例

 

 

敷金全額で相殺が前提

通常の使用状況であったとしても、入居期間が5年も過ぎると多少のキズや汚れはつきものです。ましてや、幼児がいる家庭では、落書きやシールの跡が当たり前のようにあるものです。借主は、“何とか敷金の範囲内に収まればよい”と願うばかりです。そんな心理を利用してか、立ち合い業者は部屋内のチェックもせずに、のっけから敷金全額での相殺を提案してくる場合があります。適正にチェックがなされていれば、敷金の返還も望めたかもしれません。

 

吹っ掛けた金額からの値引き

どの業界でもあることですが、最初から値引き交渉の余地を残した見積もりを提示することがあります。建築・設計に携わった者でない限り、その金額が妥当なものかは知る由もありません。値引き後の見積額が敷金の範囲内に収まっていれば、その額が法外であっても安堵して納得してしまうものです。

 

修繕負担の承諾を急かす

立ち合い業者は、借主に修繕負担の見積もりを提示するや否や、その妥当性について考える余地を与えないまま、敷金精算書等の書類に承諾のサインを迫ってきますが、借主が納得できなかったり、疑義がある場合は承諾を留保しても構いません。立ち合い業者は、その場で承諾を得ることが責務であるため、留保する姿勢を見せた途端に金額譲歩の提案をしてくるかもしれません。また、特に繁忙期の場合、業者は1日に数件の立ち合いを行うこともありますので、1件あたりにかけられる時間が限られ、割とスムーズに主張が通ることもあります。

 

 

ガイドラインはあくまでガイドライン

見積もり

原状回復に関するノウハウを扱ったサイトで「ガイドラインや東京ルールに沿って立ち合いを行うよう業者に要請する」というアドバイスをよく見かけます。ほぼ毎日のように退去立ち合いをしている敷金精算のプロを相手にそのような要請をしたところで、ガイドラインを盾にしたその場限りのにわか知識は一目で見破られてしまいます。それだけでなく、海千山千の猛者たちは、罰則のないガイドラインを尻目に、後に紛争に発展しない程度に交渉を仕掛けてくる場合もあります。
知識で対抗せず、無知を装い、臆することなく修繕負担の根拠をひとつひとつ明確に説明してもらうことで、そのうち相手は折れてくれるかもしれません。

 

 

納得いかなければ専門家に相談

いくら取り戻せる

立ち合いの場で業者と争うことも泣き寝入りすることもはありません。納得できない場合は、速やかに専門家に相談することが重要です。意思に反して書面に承諾のサインをしてしまった後でも、敷金が返還される可能性は十分にあります。その場合、できれば業者とのやり取りをメモにしておき、また、修繕負担の根拠となる箇所の画像や物件の平面図があると効果的です。

 

オーナーと管理会社の信頼関係による?

そもそも、業者(管理会社も含む)は、オーナー(大家)からの委託で業務を行い対価を得ている関係上、オーナーに争い事を持ち込んだり、利益に反することはしづらいものです。そういう意味で、業者と借主は利益相反の関係ではありますが、借主が取り戻したい修繕費用分の負担は、業者ではなくオーナーになるため、業者がオーナーに対しうまく立ち回ってくれさえすれば、「敷金精算」は特に難しい問題ではありません。
私の経験で言わせてもらえば、業者に対するオーナーからの信頼がなく、また、オーナーの言いなりであるような業者の場合には、少々手間がかかるようです。

 

 

敷金精算で損をしないためのサポートをします

見積もり

原状回復の関するガイドラインが貸主、借主の双方に浸透しているにもかかわらず、今でも敷金返還トラブルは全国で起こっています。退去時にトラブルにならないまでも、不満を感じた方を含めれば決して少ないとは言えないでしょう。改正民法が国会で成立し、今後、「敷金」、「原状回復」が明文化されることで、敷金返還トラブルの減少が期待されるところですが、ガイドラインがそのまま民法の条文に規定されるにとどまり、その規定が、現場で適正に運用されなければ何の意味もありません。

 

公正な原状回復義務負担のもとに敷金精算が行われるよう、当事務所では、宅地建物取引士として不動産会社に携わってきた経験に基づき、敷金返還に関するお困り事のお手伝いを行います。

 

  >>>「当事務所でお手伝いできること」 〜敷金返還トラブル編〜 はこちら

 

 

 

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